代数方程式を解く
機会があったので、ついでに可解性を久方ぶりに復習してみた。
とりあえず係数体は としておく。
大方間違ってないと思うけど、永遠にβ版。
■2次方程式の解法のキモ
与えられた方程式は、拡大体 で一次式に分解できる。
2解を 、 とすると、解と係数の関係から 、。
追加した数の2乗は となるので、解の対称式である。
またこの拡大に対応するガロア群はとなる。
■3次方程式の解法
3次方程式 は、 とおくと、2次の項のない方程式 にできる。
とおくと、 となるので、、 を満たす 、が求まればよい。
そのような 、 は解と係数の関係から方程式 の解となり、これを解くと となる。
よって 、、 とおくと、 は 、、 となる。
以上から、元の3次方程式の解は、、、 と書ける。
■3次方程式の解法のキモ
与えられた方程式は、 を次のように拡大した体で一次式に分解できる。
- を追加
- を追加
1の は2乗すると の元になるので、拡大 に対応するガロア群は 。
2の は3乗すると の元となるので、拡大 に対応するガロア群は 。
解と係数の関係 、、 を用いると、、検証は数式処理ソフトの使用推奨。
は解の対象式で書けるので、解の置換で不変。
よって拡大 に対応するガロア群は 。
また は解の偶置換で不変になっている。
よって拡大 に対応するガロア群は 。
ちなみに は の元になる。
へ解の奇置換を適用すると、 となる。
■4次方程式の解法
4次方程式 は、 とおくと、3次の項のない方程式 にできる。
ここで とおくと、、 は次のようになる。
これらを元の式に代入して次を得る。
これは 、、 を変数とする恒等式であるから、次が言える。
- から、
- から、
- から、
、、 は解と係数の関係から方程式 の解となる。
この解を 、、 とすると、、、 とできる。
であるから、、 を組み合わせることで、元の4次方程式の解 、、、 が求まる。
■4次方程式の解法のキモ
与えられた方程式は、 を次のように拡大した体で一次式に分解できる。
- 3次式 に関して、3次の場合の1に相当する を追加
- 3次式 に関して、3次の場合の2に相当する数 (係数とからなる式の3乗根)を追加
- を追加
- を追加
1の は2乗すると の元となるので、拡大 に対応するガロア群は 。
2の は3乗すると の元となるので、拡大 に対応するガロア群は 。
3の は2乗すると の元となるので、拡大 に対応するガロア群は 。
4の は2乗すると の元となるので、拡大 に対応するガロア群は 。
1の は2乗すると解の対称式で書けるので、拡大 に対応するガロア群は 。
2の は3乗すると解の偶置換で不変なので、拡大 に対応するガロア群は 。
3、4の、 は2乗すると の作用で不変。
なので、拡大 に対応するガロア群は 。
ちなみにそれぞれのガロア群は次の様に対応
■キモのまとめ
与えられた方程式が一次式に分解できるよう、 と体を拡大していく。
とするとき、体の拡大に合わせて、ガロア群 が構成されていく。
但し、拡大 で追加される は、べき乗すると の元になるような数。
そのようなべきが だとすると、 のように、隣り合ったガロア群の商は巡回群となる。
また商が群になるには、法となる群 が の正規部分群になっていないとダメ。
なので、上記のガロア群の系列において、部分群の関係 は 正規部分群の関係 になる。
■5次方程式の解法
から に至る正規部分群列で、隣会う群の商が可換群(巡回群でなくてOK)になるものはないので、一般の5次方程式に対しては係数体の加減乗除とべき根で解を表せない。