シュレディンガー方程式までの量子力学

を勉強したので、そのまとめノート。

黒体輻射比熱の問題(プランク、1900年)

  • 溶鉱炉内の鉄の温度を、放射される光の色(振動数、波長)から判定したかった
  • 外からの入射する全波長の電磁波を吸収して(=外から得たエネルギーを)内部に熱放射する空洞(=黒体)で、光の強さ(=温度=エネルギー=振幅)と放射される光の振動数の分布を調べた
  • 実験の結果は次の通り
    • 振動数が高くなるにつれ放射される光は多くなるが、ある振動数をピークとして放射される光が少なくなる
    • 温度が低いときはピークとなる光の振動数は低く、温度が高くなるとピークの振動数が高くなる
  • 放射される振動数 \nu の光に対する光の強度 U(\nu) の公式は次の通り
    • ヴィーン(1896年)
      • U(\nu)=\frac{8\pi k_B\beta}{c^3}\nu^3\frac{1}{\exp(\frac{\beta\nu}{T})}
      • T は温度、k_Bボルツマン定数\beta は実験にあうような定数
      • 振動数が高い(波長が短い)領域では実験と一致するが、振動数が低い(波長が長い)と一致しない
    • レイリー・ジーンズ(1900年):
      • U(\nu)=\frac{8\pi k_B T}{c^3}\nu^2
      • 振動数が低い(波長が長い)領域では実験と一致するが、振動数が高い光がいくらでも存在してしまう(ピークがない)
    • プランク(1900年)
      • U(\nu)=\frac{8\pi h}{c^3}\nu^3\frac{1}{\exp(\frac{h\nu}{k_B T})-1}
      • 振動数が低いときはレイリー・ジーンズの式、高いときはヴィーンの式にあうように作成
      • 全振動数領域(全波長領域)で実験と一致
  • プランクの公式の解釈は次の通り
    • エネルギーにはエネルギー量子という最低の単位があり、それは振動数に比例した h\nu になる考えると辻褄が合う
    • hh=k_B\beta となるような定数
    • ヴィーンの公式が低温で一致しないのは、エネルギーが h\nu 単位でなく連続と考えているため

■光量子仮説(アインシュタイン、1905年)

  • 金属に光を照射すると光が飛び出してくる(光電効果
  • 金属の表面にある電子が光からエネルギーをもらって、勢いあまって飛び出すと考えれば不思議ではない
  • エネルギーが小さいと飛び出しにくく、大きいと飛び出しやすいと想像できる
  • しかし、赤い波長の光であれば、どれだけエネルギーが大きくても(=明るくても=振幅が大きくても)電子は飛び出さない
  • 対して、紫の波長の光であれば、どれだけエネルギーが小さくても(=暗くても=振幅が小さくても)電子は飛び出す
  • 振動数νの光はエネルギーがhνの粒子(光量子)と考える(仮説する)と、次のように考えられる
    • 振動数の小さい赤い光(=エネルギーの小さい光)がいくら沢山ぶつかっても(=振幅が大きくても)、電子は動かない
    • 振動数の大きい紫の光(=エネルギーの大きい光)は一つぶつかられれただけで(=振幅が小さくても)、電子は動いてしまう

コンプトン効果(1923年)

  • 電子にX線を当てると電子が弾き飛ばされる
  • しかしその際、X線の波長が延びる(振動数が小さくなる)
  • 光は物にぶつかっても波長は変わらない(光の色は変わらない)
  • 光量子仮説で次のように説明できる
    • 電子を弾き飛ばしたのは、X線が電子にエネルギーを与えたからで、その分X線のエネルギーが減った、つまり振動数が小さくなった

■ラザフォードの原子モデル(1911年)

  • 原子の中心には非常に小さく、電子と比べると重い核があり、その周りを電子が回っており、核と電子は電気的な引力で引っ張られている、と主張
  • しかし電子は円運動をすると電磁波を放出する
  • 放出した電磁波のエネルギー分だけ電子はエネルギーを失う
  • よって電子は徐々にエネルギーを失い、やがて核に向かって落ちていくはず
  • つまり電子からの放出される光の振動数は、連続的に変化する(連続スペクトル)はず
  • 実験の結果、電子から放出される光の振動数は飛び飛び(線スペクトル)で、決まった波長の光だけであった

ニールス・ボーアの原子モデル(1913年)

  • 電子は原子核の周りに波動として存在すると考える
  • 両端が固定された弦では、振動数は1、2、3、…の値しかとり得ず、波長は弦の長さλに対して λ、λ/2、λ/3、…となる
  • 波長を固定して考えると弦の長さは波長の整数倍となる
  • 原子で考えた場合、電子の軌道半径 r は下記の物質波を使うと、2\pi r=n\frac{h}{mv} (n=1,2,\cdots) となり、飛び飛びになる
  • 振動数1より小さい軌道はないから、電子は核に向かって落ちていかない
  • 第2、3、…、軌道上の電子は、下の軌道におちる可能性があるが、軌道差のエネルギーの光が放出されるので、放出される光の振動数は飛び飛びとなる

■物質波(ドブロイ、1923年)

  • 光が波動であるにもかかわらず粒子の性質を持つなら、粒子である電子が波動の性質(物質波)を持ってもおかしくない
    • 質量 m の物質が速度 v で飛んでいるときの運動量は p=mv=\frac{d}{dv}E、運動エネルギーは E=\frac{1}{2}mv^2=\frac{p^2}{2m}
    • 波長 \lambda、振動数 \nu の波動は、速度が v=\lambda\nu、エネルギーが E=h\nu=h\frac{v}{\lambda}、なので運動量は p=\frac{d}{dv}E=\frac{h}{\lambda}
    • なので物質の波長は \lambda=\frac{h}{p}=\frac{h}{mv}
  • 電子の干渉現象が実験で確認された

波動方程式シュレーディンガー、1926年)

  • 物質の運動エネルギーは E=\frac{1}{2}mv^2=\frac{p^2}{2m}、波動のエネルギーは E=h\nu、運動量は p=\frac{h}{\lambda}、なので h\nu=\frac{1}{2m}\frac{h^2}{\lambda^2}
  • 波長 \lambda、振動数 \nux 軸方向へ伝播する波は、時間 t において \psi(x,t)=\exp(2\pi i(\frac{x}{\lambda}-\nu t))
  • -i\frac{h}{2\pi}\frac{\partial}{\partial x}\psi(x,t)=-i\frac{h}{2\pi}\frac{2\pi i}{\lambda}\psi(x,t)=\frac{h}{\lambda}\psi(x,t)、なので -i\frac{h}{2\pi}\frac{\partial}{\partial x}=\frac{h}{\lambda}
  • i\frac{h}{2\pi}\frac{\partial}{\partial t}\psi(x,t)=i\frac{h}{2\pi}(-2\pi i\nu)\psi(x,t)=h\nu\psi(x,t)、なので i\frac{h}{2\pi}\frac{\partial}{\partial t}=h\nu
  • よって、i\frac{h}{2\pi}\frac{\partial\psi}{\partial t}=h\nu\psi(x,t)=\frac{1}{2m}\frac{h^2}{\lambda^2}\psi(x,t)=-\frac{1}{2m}\frac{h^2}{(2\pi)^2}\frac{\partial^2\psi}{\partial x^2}
  • 一般の場合は、3次元であって、かつ位置エネルギーも考えるので、E=\frac{|p|^2}{2m}+V(x_1,x_2,x_3)=\frac{p_{x_1}^2+p_{x_2}^2+p_{x_3}^2}{2m}+V(x_1,x_2,x_3)
  • なので、i\frac{h}{2\pi}\frac{\partial\psi}{\partial t}=-\frac{1}{2m}\frac{h^2}{(2\pi)^2}\sum\frac{\partial^2\psi}{\partial x_i^2}+V(x1,x2,x3)\psi

不確定性原理ハイゼンベルク、1927年)

  • 未着手